重陽の節句の食べ物や意味を解説|栗ご飯や菊酒の由来

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重陽の節句とは?と聞かれても、ピンとこない方も多いかもしれません。

読み方は「ちょうようのせっく」といい、五節句のひとつで菊の節句として親しまれてきました。

栗ご飯や菊酒、お菓子を楽しむ意味や由来、飾りや雛人形といった大人の風習まで、重陽の節句にまつわる文化をわかりやすく紹介します。

廃れた理由や「不吉」と言われた背景についても触れながら、現代に合った楽しみ方をご提案します。

この記事のポイント
  • 重陽の節句の由来と読み方を知ることができる
  • 栗ご飯や菊酒など食べ物の意味と背景を理解できる
  • 菊の花や雛人形などの飾りの風習を学べる
  • 重陽の節句が廃れた理由と現代での楽しみ方がわかる
  • 重陽の節句の菊酒の意味と作り方

重陽の節句の食べ物の意味と由来を解説

重陽の節句では、栗ご飯や菊酒、食用菊などの特別な食べ物が登場します。

これらは単なる季節の味覚というだけでなく、それぞれにしっかりとした意味や願いが込められているんです。古くは平安時代から伝わる風習の中に、健康や長寿を願う知恵が詰まっています。

ここでは、そんな重陽の節句の食べ物にまつわる由来や背景をわかりやすく紹介していきます。

重陽の節句の食べ物の意味と由来を解説
  • 重陽の節句とは?由来と歴史の基本
  • 重陽の節句の読み方と菊の節句の関係
  • なぜ重陽の節句で「栗ご飯」を食べるのか?
  • 重陽の節句のお菓子に込められた願い

重陽の節句とは?由来と歴史の基本

重陽の節句(ちょうようのせっく)と聞いて、ピンとくる人は少ないかもしれません。ですが、実はこの日は、古代中国から日本に伝わった、れっきとした伝統行事のひとつ。暦の上では「五節句」と呼ばれる特別な日のひとつで、毎年9月9日に行われます。

まず、ちょっとした豆知識から。この「重陽」という名前、何かというと“陽の数”である「奇数」が重なることから来ているんです。

1や3、5、7、9といった奇数は「陽(よい)」の数字とされていて、9はその中でも最も大きい数字。そんな9が重なる「9月9日」は、陽が重なる日=重陽(ちょうよう)として、非常に縁起のいい日とされてきました。

じゃあ、どうしてそんな日が「節句」になるのか?というと、これには中国の思想が深く関係しています。古代中国では、暦と運気の関係をとても大事にしていて、奇数が重なる日には邪気が生まれやすいと考えていました。

その邪気を払うために、菊の花を飾ったり、菊の酒を飲んだりすることで、無病息災や長寿を願ったんですね。これが、やがて日本にも伝わり、平安時代には宮中行事のひとつになっていきました。

その後、江戸時代になると五節句のひとつとして正式に制度化され、庶民の間でも「菊の節句」として親しまれるようになります。ただ、現代では七夕や端午の節句ほどの知名度はなく、どちらかといえば“知る人ぞ知る行事”になってしまいました。

でも、そんな重陽の節句には、菊の花や秋の味覚を楽しむという素敵な文化が詰まっています。季節の変わり目に体を整える意味もあるので、今こそもう一度見直したい行事だと思います。ちょっと地味だけど、知れば知るほど奥深いんですよね。

重陽の節句の読み方と菊の節句の関係

「重陽の節句」、読み方は「ちょうようのせっく」です。初見では読みにくいこの言葉、実はかなり由緒ある日本の伝統行事のひとつなんです。とはいえ、今どきの若い世代には「え、そんなのあったっけ?」と言われてしまいそうなマイナー感も否めませんね。

では、なぜ「菊の節句」とも呼ばれるのでしょう?それは、この行事がちょうど菊の花が満開になる時期にあたるからなんです。

旧暦の9月9日、現在の新暦だとおよそ10月上旬ごろは、まさに菊のベストシーズン。そんなタイミングに合わせて、菊の花を飾ったり、菊酒を楽しんだりすることで、季節の風情と健康長寿を同時に願うという、なんとも粋な行事なんですね。

また、菊は古来中国でも「薬効のある神聖な花」とされていて、邪気を払う力があると信じられていました。そのため、菊の露をしみ込ませた「被せ綿(きせわた)」で体を拭いたり、菊湯に入ったりといった習慣も生まれました。

一方で、「菊=お墓参りの花」というイメージが先行して、あまり良い印象を持たれないことも。ですが、重陽の節句で使われる菊は、本来はお祝いの花。おめでたい行事にふさわしい存在なんです。これはちょっと意外ですよね。

今ではあまり大々的に祝われることがなくなりましたが、逆に言えば、静かに季節を楽しめる大人向けの節句として楽しむのもアリだと思います。菊の節句って、渋いけど優雅。そんな雰囲気が、現代のライフスタイルにも合っているかもしれませんね。

なぜ重陽の節句で「栗ご飯」を食べるのか?

重陽の節句といえば、やっぱり「栗ご飯」は外せません。なぜこの日に栗ご飯なのか?単なる秋の味覚だから…というのも正解ですが、実はそれ以上に深い意味があるんです。

もともと重陽の節句は、秋の収穫祭の側面も持っていました。中国から伝わった邪気払いの儀式が、稲や栗などの実りを喜ぶ行事とミックスされて、江戸時代にはすっかり「秋の味覚で健康と長寿を祝う日」として定着したんですね。

その中でも栗は「勝ち栗」とも呼ばれ、縁起のいい食べ物として大切にされてきました。

そしてもうひとつ大事なポイントが、「栗=栄養価の高い保存食」であること。昔は病気や災いから身を守るために、栄養のあるものを行事の日に食べる習慣がありました。

特に季節の変わり目である秋は、体調を崩しやすい時期でもありますから、ほっくり甘くて栄養たっぷりの栗ご飯はピッタリだったわけです。

ただし、現代の家庭では「栗の皮むきが面倒!」という声もチラホラ。たしかに手間はかかります。でも、冷凍のむき栗や栗ご飯の素など、便利な商品も増えているので、気軽に取り入れられるようになりました。無理せず楽しむのが一番です。

これをきっかけに、毎年9月9日は栗ご飯を炊いて、季節を感じる食卓を囲んでみるのもいいかもしれませんね。

重陽の節句のお菓子に込められた願い

重陽の節句にちなんだお菓子って、実はとっても奥が深いんです。なにげなく食べている和菓子やスイーツにも、実はちゃんと意味が込められているとしたら…ちょっと興味わいてきませんか?

たとえば、「菊」を模した上生菓子。これはまさに重陽の節句にぴったりのお菓子です。

菊の花びらをイメージした見た目も美しく、口にすれば上品な甘さとともに、自然と季節を感じられるのが魅力です。食べるだけでなく、目で見ても楽しめるというのが和菓子のいいところですね。

また、もうひとつ定番なのが「栗」を使ったお菓子。栗あんを使った最中や羊羹、秋の王道スイーツ・モンブランなど、栗は重陽の節句のシンボル食材のひとつでもあります。豊かな実りと長寿を願う意味を込めて、大切な人と一緒にいただくというのも素敵な風習です。

一方で注意したいのは、食用菊を使う際には「観賞用の菊は使わないこと」。スーパーなどでも手に入る食用菊は苦味が少なく、酢の物や天ぷらにぴったりですが、間違っても庭の菊をちぎって料理にしないようにしましょう。

最近では、洋風のアレンジを加えた菊のスイーツも人気です。たとえば、菊の花びらをかたどったクッキーやゼリーなど、ちょっとした季節のギフトにも最適。オシャレ感もあって、インスタ映えもばっちりです。

こうして見ていくと、重陽の節句のお菓子って、ただのスイーツではないんですよね。その背景にある「願い」や「季節感」を知った上で味わうと、なんだか特別な時間になるような気がします。ちょっとした贅沢として、楽しんでみるのもいいと思いますよ。

重陽の節句の菊酒の意味と作り方

重陽の節句に欠かせない存在といえば「菊酒(きくざけ)」です。とはいえ、「え?菊のお酒ってなに?」と思った方も多いはず。実はこれ、ただの飾りではなく、ちゃんと意味があって昔から伝わる伝統的な飲み物なんです。

菊酒とはその名の通り、菊の花を使ったお酒のこと。平安時代の宮中では、このお酒を酌み交わして長寿や無病息災を願う「菊の宴」が行われていました。

当時は、菊の花びらを日本酒に浮かべて飲むだけで、香りや風情を楽しんでいたそうです。現代で言えば、ハーブティーのような感覚に近いかもしれませんね。

なぜ菊なのかというと、菊の花は古来より薬効があるとされ、中国では「邪気を払う花」として重宝されていました。

特に「菊水伝説」では、菊の露を含んだ川の水を飲んだ人々が長生きしたという話も残っており、健康と長寿の象徴とされてきたんですね。それが日本にも伝わり、節句の日に飲むことでその力を取り入れようとしたわけです。

さて、気になる作り方ですが、これがとっても簡単です。用意するのは、食用菊1輪とお好みの日本酒だけ。菊はよく洗って、花びらをちぎってグラスに浮かべれば完成。見た目も華やかで、ちょっとしたおもてなしにもぴったりです。

もう少し香りをしっかり楽しみたい方は、菊をまるごと一晩漬け込む方法もあります。これがまた上品で、まさに“大人の秋の嗜み”って感じです。

ただし注意点もあります。庭に咲いた観賞用の菊は農薬が使われていることがあるため、必ず「食用菊」と明記されたものを使用しましょう。スーパーや青果店で手に入るので、チェックしてみてくださいね。

重陽の節句に菊酒をいただく――それは単なる飲み物を超えて、季節を感じ、心と身体を整えるひとときでもあるんです。せっかくの伝統行事、今年はちょっと優雅に菊酒で乾杯してみてはいかがでしょうか。

重陽の節句の食べ物の意味と現代の楽しみ方

昔ながらの行事としての重陽の節句も、今では現代風にアレンジして楽しむ人が増えています。

栗ご飯や菊を使った料理・スイーツなどは、季節感を味わえるだけでなく、日常にちょっとした特別感を加えてくれます。

伝統をしっかり押さえつつ、無理せずおしゃれに楽しむのが今のスタイルです。ここでは、重陽の節句の食べ物の意味を踏まえた上で、現代らしい取り入れ方をご紹介します。

重陽の節句の食べ物の意味と現代の楽しみ方
  • 重陽の節句は不吉?と言われた理由
  • 重陽の節句の飾り|花と室礼の意味
  • 重陽の節句の「雛人形」と大人の風習とは
  • 重陽の節句はなぜ廃れた?現代との違い
  • 五節句とは?重陽の位置づけを確認

重陽の節句は不吉?と言われた理由

「重陽の節句って、実は不吉って言われてたの?」そんな声もチラホラ聞こえてきそうですが、実はこれ、本当の話なんです。今では縁起のいい日とされていますが、昔はちょっと違った見方をされていた時期もあるんですよ。

そのカギを握っているのが「陽の気」です。中国の陰陽思想では、奇数は「陽」の数とされ、1・3・5・7・9の中でも「9」は最も強い陽の数字。つまり、9月9日は“陽が二つ重なる”日であり、「陽の極み」とも言える特別な日になります。

ただ、この“陽が強すぎる”という状態は、逆にバランスを崩すと考えられていたんです。強すぎる光が影を生むように、陽の力が過剰になることで「災いが起きるかもしれない」という不安があったわけですね。

これが「重陽=不吉」と言われるようになった背景です。

とはいえ、それをそのままにしておくわけにはいかない。だからこそ、昔の人たちは菊を飾ったり、菊酒を飲んだり、登高(高いところに登る行為)を行ったりして、邪気を払おうとしたのです。

つまり、不吉な日と向き合い、むしろ良い日に変えるという発想だったとも言えますね。

一方で、こうした風習は時代とともに「長寿を祝う日」としての意味合いが強まっていき、現代ではすっかりポジティブなイメージに落ち着いています。でも、こういうネガティブからポジティブへと変化していく流れって、なんだか人間らしくて面白いですよね。

ちなみに、現代でも「縁起担ぎ」に敏感な方は、9月9日をちょっと気にする人もいるそうですが、それ以上に「季節の行事として楽しむ」というスタンスの方が多いようです。

今では不吉どころか、ちょっと雅な秋のイベントとして静かに再評価されているのかもしれませんね。

重陽の節句の飾り|花と室礼の意味

重陽の節句で欠かせないのが「飾りつけ」。中でも主役を張るのが「菊の花」ですが、実はそれだけじゃないんです。この時期ならではの飾り方や風習を知ると、より一層深く行事を楽しめるようになりますよ。

まず最初に覚えておきたいのは「菊の被綿(きせわた)」です。これは、前日に菊の花に綿をかぶせておき、朝露を含ませたその綿で体を拭うことで、菊の薬効を身体に取り込むという風習。

古くは赤い菊には白い綿、白い菊には黄色い綿など、色の取り合わせにも意味が込められていたそうです。まさに日本的な美意識ですね。

次に注目したいのが「後(のち)の雛」。

これは、桃の節句に飾った雛人形をもう一度この日に飾って虫干しを兼ねながら、健康や長寿を願うというもの。江戸時代には庶民の間でも広まっており、女性たちが自分のために飾る「大人の雛祭り」として楽しまれていたとか。

今なら、和室にシンプルに立雛を飾るだけでも季節感が出て素敵ですよ。

そのほかにも、「菊の室礼(しつらい)」として、床の間に季節の花や掛け軸を飾ったり、お香や菊を使ったアロマアイテムを取り入れるなど、現代的なアレンジもどんどん増えています。

決まりごとに縛られる必要はないので、好きな菊の花を一輪だけ飾るだけでもOK。おしゃれに、そして気持ちよく楽しむのが一番です。

ただし、観賞用の菊は花粉が多いものもあるので、花粉症の方は要注意。飾るときは風通しのいい場所に置くなど、体調に合わせて工夫するのがおすすめです。

このように、重陽の節句の飾りや室礼には「美しさ」と「願い」の両方が込められています。忙しい毎日の中で、ちょっと立ち止まって季節を感じるきっかけにしてみるのも素敵だと思いますよ。

重陽の節句の「雛人形」と大人の風習とは

「雛人形って3月の桃の節句だけじゃないの?」と思っていた方、実は重陽の節句にも“雛人形を飾る風習”があるんです。その名も「後(のち)の雛」。

これは江戸時代に広まった、ちょっと粋でちょっと不思議な風習なんですよ。

そもそも3月3日の桃の節句は女の子の健やかな成長を願う日として知られていますよね。その時に飾った雛人形、実は年に一度だけでなく、9月9日の重陽の節句にも再び飾るのが“後の雛”です。

昔は雛人形をしまいっぱなしにせず、この日にも風にあてて虫干しし、長持ちさせるという実用的な目的もあったようです。とはいえ、それだけじゃなく、「大人になっても健康と長寿を願うためにもう一度雛人形を飾る」という意味合いも込められていました。

つまり“後の雛”は、子どもではなく「大人のための雛祭り」なんです。これって、ちょっと素敵な考え方だと思いませんか?

自分自身の人生や健康に目を向ける日として、雛人形と再会する――そんなひとときが、忙しい現代人にも必要なのかもしれません。

最近では、この風習を現代風にアレンジして楽しむ人も増えてきました。例えば、ミニチュアサイズの雛人形や、木目込みの立雛を飾ってシンプルに季節感を演出したり、雛人形をモチーフにした和菓子をいただいたり。

女子会のきっかけとして“おとなの雛祭り”を開くなんていうアイデアもSNSで見かけます。

ただし、伝統的な雛人形はかなり繊細ですから、湿気や直射日光に注意して飾ることが大切です。また、現代の住宅事情では床の間がないお宅も多いですが、テーブルや玄関など、小さなスペースでも十分季節を感じられます。

こう考えると、重陽の節句に雛人形を飾るというのは、昔の人が自分と向き合うために作った知恵なのかもしれませんね。年に一度くらい、自分の幸せを祈って雛人形を飾ってみるのもアリだと思います。

重陽の節句はなぜ廃れた?現代との違い

昔は五節句のひとつとしてしっかり祝われていた重陽の節句。でも、現代では「聞いたことない」「そんな行事あったんだ」という声も多いのが現実です。

では、どうして重陽の節句はここまで影が薄くなってしまったのでしょうか?

理由のひとつは、「祝日の対象から外れたこと」。明治時代以降、五節句は正式な祝日ではなくなり、自然と庶民の間でもその存在感が薄れていきました。

特に9月9日という時期は、お盆やお彼岸が近いこともあり、別の行事に埋もれやすかったんですね。

また、他の節句と比べて“子ども向けのイベント”ではなかったのも影響していると思われます。たとえば3月3日は女の子のお祭り、5月5日は男の子の節句。

家族で楽しめるイベントとしての明るさがある一方、重陽の節句は“長寿や健康を願う”という大人っぽいテーマだったため、現代のエンタメ要素とはちょっと相性が悪かったのかもしれません。

さらに、秋は学校行事や仕事の繁忙期と重なるタイミング。9月の平日は忙しい人が多く、節句を祝う余裕がないというのも現実的な理由です。特に昭和以降は、学校でも習わないことが増え、知らないまま大人になるケースも増えてしまったわけですね。

とはいえ、近年では「季節を感じる行事をもう一度見直そう」という動きも出てきています。菊のアレンジメントや栗ご飯、菊酒などを取り入れた大人向けの行事として、じわじわと再評価されつつあるんです。

むしろ今の時代だからこそ、静かに過ごすこういう行事が求められているのかもしれません。

このように見ていくと、重陽の節句が廃れた理由には社会の変化やライフスタイルの影響が大きいことがわかります。

でも、ちょっとした工夫で現代風に楽しむことも十分に可能です。忘れられた伝統に、もう一度スポットライトを当ててみるのも悪くないと思いますよ。

五節句とは?重陽の位置づけを確認

日本には「五節句(ごせっく)」という季節の行事があります。これは1年のうちに5回ある節目の日のことで、それぞれに特別な意味が込められているんです。

学校ではあまり詳しく習わなかったかもしれませんが、日本の伝統文化を知るうえでとても重要なキーワードなんですよ。

五節句には以下の5つがあります

  • 1月7日…人日の節句(七草の節句)
  • 3月3日…上巳の節句(桃の節句)
  • 5月5日…端午の節句(菖蒲の節句)
  • 7月7日…七夕の節句(笹の節句)
  • 9月9日…重陽の節句(菊の節句)

こうして見ると、重陽の節句は五節句の中で最後にあたる節目。実は“締めくくり”とも言えるポジションなんですね。

春から夏にかけての行事が終わり、秋の入り口に位置するこの節句には、1年の健康を振り返ったり、無事を感謝したりする意味合いも含まれています。

他の節句と同様に、重陽も中国の陰陽思想が元になっています。1・3・5・7・9といった奇数が「陽数」とされ、陽数が重なる日は特別な日。

中でも9は最大の陽数なので、9月9日は“陽が極まる日”として「重陽」と呼ばれるようになったんですね。

五節句はもともと宮中行事として行われていましたが、江戸時代に入ると庶民にも広がり、今のような季節行事として定着していきました。

ただ、時代の流れとともに、一部の節句だけが残り、重陽は少し目立たない存在に。これが「五節句なのに知られていない」という今の状況を生んでいるわけです。

でも、菊の花を飾ったり、栗ご飯を食べたり、静かに季節を感じるにはぴったりの行事でもあります。他の節句のような派手さはないけれど、その分ゆったりとした時間を楽しめるのが魅力だと思います。

五節句の意味を知ると、1年の流れがよりはっきり見えてきます。その締めくくりとしての重陽の節句も、ぜひ大切にしていきたい文化ですね。

【まとめ】重陽の節句の食べ物や意味を解説|栗ご飯や菊酒の由来

まとめ
  • 重陽の節句は9月9日の行事であり、菊の節句とも呼ばれる
  • 「ちょうようのせっく」と読み、五節句のひとつに数えられる
  • 栗ご飯を食べる風習は豊作や長寿を祈る意味がある
  • 菊酒には邪気を払う力があるとされ、古来より用いられてきた
  • 菊を使った和菓子や食用菊も節句料理として親しまれている
  • 雛人形を飾る「後の雛」は大人の女性の健康長寿を願う風習
  • 重陽の節句の飾りには菊や秋の草花が使われることが多い
  • 不吉と誤解されることもあるが、本来は非常に縁起の良い日である
  • 明治以降に公的な祝日から外れたことが廃れた要因とされる
  • 現代ではアレンジを加えて楽しむスタイルも注目されている

重陽の節句は、五節句のひとつとして古くから親しまれてきた日本の伝統行事です。

9月9日に行われ、菊の節句とも呼ばれるこの日は、菊酒や栗ご飯、食用菊など、季節の食べ物を楽しみながら長寿と健康を願う風習があります。

読み方は「ちょうようのせっく」で、最大の陽数「九」が重なることから縁起の良い日とされています。

雛人形を飾る「後の雛」や、菊を用いた飾りなど、大人のための節句としての一面も持ちます。

一方で、現代ではその存在感が薄れ、「不吉」といった誤解もありましたが、実はとても前向きで華やかな行事です。

忘れられがちな伝統行事ですが、今こそその意味や楽しみ方を見直し、暮らしに季節感を取り戻すチャンスかもしれませんね。

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